一七二一時
「…っ、」
跡部の背中に付きたてた刀から手を離して、忍足は地面に転がった。
もう、終わりだった。
何もかも終わりだ。終わりに。
頭が朦朧としているし、傷は痛いと思うことさえなくなってしまって、何も考えられなくなって。
(…英二、逢えるとええなァ…)
願わくば。
こんな自分にも、奇跡を。
自分に向かって降ってくる雨を見上げたまま、忍足は最期を向かえた。
その目は、光を失ったまま、空を見上げていた。
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