一六〇四時
「……忍足…、っ?」
英二は、不意に痛みで覚醒した。痛くて目が覚めるものはこんなにも酷い感覚だということを、初めて知った。
いつの間にかベッドに寝ていて、なぜ自分がここにいるのか、一瞬記憶が繋がらなかったけれど。
「…」
ああ、オレ、切原に刺されたんだ。
背中が死にそうなくらい痛い。頭が痛くてフワフワしていて、うまく物が考えられない。動けない。息をするだけで痛い。
でも、そんなことよりも、傍に忍足が居ない方が、英二には重要だった。
「…おし…たり?」
息を吸ったら痛いどころか、喋ったら死にそうになった。もういっそ死にたくなるくらいの痛みが背中から体中に伝って激痛になって。
「…、」
それでも、英二はベッドから転げ落ちるみたいに、床に下りると、無理やりベッドにつかまって体を立たせた。
足ががくがくして、上手く立てない。
(…情けないじゃん、オレ)
息が上がって、上手く動けない。
苦しい、痛い、死にそう。
頭が不意に真っ白になって、英二は自分の意思に関係なく地面に膝をついた。その衝撃で、意識が飛びそうだった。
それでも、英二を繋ぎとめているのは、忍足。
(…どこ行ったんだよ、)
途絶えそうになる意識を振り絞って、英二は病室を出て行った。
忍足を探しに。
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