一七〇〇時
『諸君、夕方の放送だ。』
スピーカーから流れた音に、越前は顔を上げた。
もうそんな時間かと一人空を仰ぐ。
陽が傾きかけてもう空は色を鮮やかに変えていくのを留めることを知らない。
背中に背負った日本刀を下ろして、鞘から抜いてみる。手入れをしないと切れなくなるだろうなと思ったけれど、手入れするための道具がないからどうしようもない。
既に切っ先は血がこびり付いて汚く汚れている。
乾と大石を仕留めたのはこの日本刀だった。
名も知らない名刀。
血を吸って、妖艶に煌く切っ先。
『十三番、向日くん、十四番、宍戸くん、十七番、不二裕太くん、二十番、阿久津くん。以上。順調だな、いい調子だ。次に禁止エリア。B、C、Gエリア。人数が少ないから一気に狭まる。頑張ってくれ』
ブツ。
完結に告げて切られた放送を聞きながら、越前は笑った。
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