一四四〇時



「…手塚さーん」


 切原はフォーク片手に森の中を歩き回っていた。
 昨日月の光に輝いていたフォークは、今は明るい日の光に照らされて、月夜よりもキラキラ光る。
 
 その明るい銀色のフォークを何気なく見つめて、切原はもう一度「手塚さーん?」と当てもなく呼びかける。

 というのも、是非とも手塚をフォークでぶっ殺してやりたかったからだ。
 他の連中はライフルで十分だったのだけれど、彼は、そう、特別だから。

 けれど、見あらない見つからない。

 やはり人数が減ってくると遭遇率も減るのかなと切原は思ったけれど、こればかりは解決策が何もなかった。

(アレかなーもう殺されちゃったとか?)

 それじゃあ全国区の名が悲しすぎる。
 切原は肩からずり落ちたデイパックを担ぎ直して、次のエリアへと移動するのだった。


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