016:シャム双生児




 ギィ、とベッドが軋んで不二は深くベッドに沈む。
 押さえつけられて沈むこの瞬間が好きだと思うけれど、それはあまり長くは続かない。

「…今日は機嫌がいいね?」

 あはは、と笑って不二は首筋に顔を埋めてくる跡部の頭を軽く抱きすくめた。
 皮膚の上を舌が這う。
 首の筋をすっと降りていって、その間にいくつか痣を残す。
 それからまた這うようにゆっくり舌は降りていって、何故かいつも執拗に鎖骨の辺りを噛んだりしていた。
 鎖骨フェチか何かかと不二はたまに思うけれど、でも、自分の鎖骨はキレイだから、まあ当然かとも思う。いつだったか英二にそういう話をしたら、不二はナルシストだよねって真顔で言われたのを頭の隅でちょっとだけ思い出していた。

「機嫌?」

「そう、機嫌」

「何でそう思う」

「噛み方が甘ったるい」

 ふふ、と吐息みたいに笑った不二に、跡部はどこか拗ねたようなそんな顔をして、さっさと不二の半勃ちになっているそこに、ちゅ、っと口付けた。
「…ちょっ…、」
 何か言おうとした不二を構わずに、そのまま口に含んでしまう。
 舌で這うとくちゅ、と卑猥な音が聞こえた。
 ぴくりと震えたそこを、跡部は執拗に舐める。
 溢れてきた微かな体液と一緒に。

「…っ…、…ぁ、…」

 不二がきゅっと目を閉じて、唇を軽くかみ締める。
 漏れた吐息はきっと熱い。熱を帯びて、快感を帯びて。
 声が漏れることを不二は嫌う。だからいつだって唇を噛んでしまって跡を付けていた。赤い跡。
 でも、不二は知らないんだろう、堪えたほうが余計に淫猥な喘ぎになることを。
 きっと言ったら止めてしまうだろうから、跡部は一度も言ったことがない。
 不二はいつも無意識に淫らだ。

「…や…ッ、っ、ぅ」

 きゅっと強く吸ってきた跡部に、不二は咄嗟に手で口を覆った。
 声が漏れそうになるから。

 跡部はそれが面白くて、唇を離すと、右手で不二のそこを握って、今度は太ももの内側を唇で吸ってみた。
「や、やだ…、ア…ッ!」
 不二が身悶えて、跡部の頭に手を延ばすと、きゅ、っとその髪の毛を引っ張る。
 止めてくれといういつもの不二の合図だ。
 でも、跡部は止めない。
「…お前相変わらず感度良好だよな…」
 皮肉を言った跡部の声は聞こえているのか、聞こえていても言葉を返せないのか、不二は跡部の髪を引っ張ったまま動けないでいる。
 ぎゅっと瞑った目を、うっすらと開いた。
「…だ、って……ぅ、ァ…」


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